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釣り人たちがしきりに島を指差し、「あそこにつけてくれ!あそこに!」と口々に言い始めた。しかし、釣り人達が指差す先には、桟橋どころか砂浜のような海岸もない。でも船は、そこに向けて一直線に向かっている。やがて船は、船首からそのままゆっくりと磯に着けた。というか、突っ込んだ。そのまま、エンジンを吹かしながら微妙に潮に流されそうな船を操作し、磯に着けた船首が離れないように押し付けている。その間に、釣り人達は片手に荷物を持って素早くその岩場に降り立ち、残りの荷物は、バケツリレー方式で次々と釣り座近くに運ばれていった。なんというチームプレイなのだろう。
やがて、その磯を選んだ釣り人を残し、船は次なる磯に向かうため、その場を離れた。離れていく時に、先ほど数人が降り立った場所を改めて見て驚いた。身動きできる範囲は数メートルもなく、また足場も見る限り数十センチと言ったところではないだろうか。遠くから見ると人が岩に張り付いてるようにも見える。こんなところで釣りをするのかと思うと少し驚いた。しかし、釣り人達は、身軽に磯上を歩き、釣り座の選定を始めていた。
今度は私たちが降り立つ磯が近づいて来た。見た所、海面からわずか3〜4メートルほどの高さで、直径5メートルほどの小さな岩礁だ。大きな波でもくればひとたまりもない場所である。船はじわじわとそこに近づき、先ほどと同じように、舵とエンジンで上手く微調整しながら船を磯に押し付けている。私は素早く岩場に降り立ち、先ほどの要領で船からバケツリレー方式で降ろされる荷物を、平らなところに置いていった。釣り人達との一体感を感じ、少し気持ちがよい。船は残り数人の釣り人を乗せて、さらに次なる磯へと向かっていった。船が離れ磯上に残された時、大自然の中にいる気持ち良さを感じた。なんという雄大で清々しい光景なんだと。
やがて、私たちが乗っていた船が目の前の磯に着けたので、慌ててカメラを構えた。写真を見て頂ければ分かるように、私たちが降り立った所よりさらに小さく、直径というより長さと言ったほうが正しいだろう。長さ10メートル、幅2メートル、海からの高さなんかほとんどないような小島と言うよりは岩礁に降り立った。釣り人達は怖くないのだろうか。 私と同じ場所に降り立った釣り人が、竿を出し、着々と準備を始めたころ、島の影から太陽の強い光が差し込んできた。「そうか、まだ早朝だったんだ。」と改めて実感した。
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